Folio №13 · vs フォルダー+Markdownでの管理 · 2026-10-11
場面別のツール選び

小説の設定をどう管理するか:フォルダー+Markdownか、キャラクターカードとストーリーアーカイブか

長編の人物・設定・伏線は、フォルダーとMarkdownでも、カードとストーリーアーカイブでも管理できます。作成・修正・AIの読み取り・巻をまたぐ整理・バージョンの違いを比較し、FeelFish、コーディングエージェント、Novelcrafter、Sudowrite、Maliang Writerのやり方も扱います。

❦ · Verdict · ❦
一言でいうと

先に結論

フォルダーとMarkdownは自由で透明性が高く、ファイルが自分の手元にあるので、形式を自分で決めたい作者に向いています。欠点は、ファイルが増えると、どのファイルが最新か、1か所を直したらどこを同期するかを、自分で覚えておく必要があることです。キャラクターカードとストーリーアーカイブは、人物や設定を1枚ずつのカードに固定し、章を書き終えると状態を自動で整理するので、ファイルを管理したくない作者に向いています。Maliang Writerには両方があります。人物と設定はカード、全体プロットは別枠、文体サンプルと書き始めの資料はドキュメントです。
Maliang Writerが向く人人物と設定が多く、数十章を超えると「最新版の設定」がよく見つからなくなる作者で、AIに執筆時に読むべきカードを自分で探してほしい人。
フォルダー+Markdownでの管理が向く人ファイル形式を自分で定義するのが好きで、ファイルをローカルに置く必要があり、またはスクリプトで設定ファイルを処理したい作者。
場面

具体的な執筆の場面

第50章まで書くと、あなたの設定フォルダーには、おそらくこんなファイルが並んでいます。主人公.md、主人公-改訂版.md、ヒロイン.md、宗門勢力.md、修行体系.md、伏線リスト.md、そして3週間も更新されていない「これまでのあらすじ.md」。フォルダーとMarkdownで設定を管理する利点は自由なことです。形式は自分で決められ、ファイルは自分の手元にあり、コーディングエージェントやFeelFishのようなクライアントがそのまま読めます。難しいのは管理です。主人公が境地を突破したら、人物ファイルを直し、修行体系の対応表も直さなければなりません。脇役が死んだら、その人物が仕込んでいた線を伏線リストから消すのを忘れてはいけません。公開されている長編の実践では、作者たちはそのために「状態」「追跡」「台帳」のファイルを事実の源として設計し、さらにAIに各章で更新させる規則を書いています。もう1つのやり方は、キャラクターカードとストーリーアーカイブです。各人物は固定された1枚のカードで、展開による変化は、章を書き終えたあとにソフトが整理します。2つの方式に優劣はなく、合うか合わないかだけです。

❦ · Matrix · ❦
比較表

12項目を一つずつ比較

画面が狭い場合は、横にスクロールしてすべての列をご覧ください。

Maliang Writerとフォルダー+Markdownでの管理の主な比較項目
比較項目Maliang Writerフォルダー+Markdownでの管理補足
設定の見た目✅ 人物・設定・伏線・ストーリーラインは1枚ずつのカード。全体プロットは別枠。文体サンプルと書き始めの資料はドキュメント✅ 1人の人物、1つの設定につきMarkdownファイル1つで、フォルダーで分類するFeelFishのプロジェクトにはキャラクターと設定のフォルダーが組み込まれている。NovelcrafterのCodexとSudowriteのStory Bibleは構造化された項目
作成✅ 書き始めのときにAIが人物の案を出し、確認するとそのままカードを生成する。すでにある本文からAIに整理させることもできる✅ 作者が手書きするか、作者が決めた形式でAIにファイルを生成させる。FeelFishのスマートコンテキストは、規則・プロット・伏線リストを抽出できる
AIがどう読むか✅ AIは執筆時に、関連するカードとドキュメントを必要に応じて読み取る。執筆エージェントはその章に必要な資料だけを受け取る✅ 作者が規則でどのファイルを読むかを明記するか、@で参照する。FeelFishは執筆時にキャラクターと設定の情報を持ち込む
展開に伴う人物の状態の変化✅ 章を書き終えたあとにストーリーアーカイブを整理(人物の状態・関係・居場所・伏線)。キャラクターカードには「アーカイブ」タブがある⚠️ 作者またはAIが、状態や台帳のファイルを管理する
1か所直したとき、いくつ同期するか✅ 設定はカード上で直す。すでに書いた本文や章プロットで古い設定に触れている箇所は、引き続き確認して直す必要がある。本文を直すと、対応するアーカイブには「旧バージョンに基づく」と印が付き、整理し直される⚠️ どのファイルがこの設定を参照しているかを、作者が覚えておく必要がある
前後の矛盾✅ 既存の設定と合わないものは「確認待ち」に並ぶ:本文に合わせて設定を直す、本文を直す、無視する、から選ぶ⚠️ 公式資料に説明が見当たらない
古くなった設定(Novelcrafter)✅ 新しい巻に入ると、前の数巻にしか出ない人物・場所・伏線はアーカイブに収まり、新しい章を書くときは参照しないが、必要なときは調べられる。人物が戻ってきたら、よく使う側に戻す✅ Progressionsは時点ごとに設定を表示できるが、作者が追加する必要がある
古くなった設定(フォルダー方式)✅ 新しい巻に入ると、前の数巻にしか出ない人物・場所・伏線はアーカイブに収まり、新しい章を書くときは参照しないが、必要なときは調べられる。人物が戻ってきたら、よく使う側に戻す⚠️ 作者が手動でファイルを移すか、規則に書いて伝える
閲覧と可視化(Novelcrafter)✅ フローティングキャラクターカード、プランニングキャンバス、ストーリーライン。ほかに作者向けの人物関係と勢力のグラフもある(有料会員の機能)✅ Grid、Matrix、Outlineの3種類の計画ビューがある
閲覧と可視化(フォルダー方式)✅ フローティングキャラクターカード、プランニングキャンバス、ストーリーライン。ほかに作者向けの人物関係と勢力のグラフもある(有料会員の機能)⚠️ ファイル一覧とMarkdownのプレビュー。FeelFishの「キャラクター関係図」は、AIが読み取るためのドキュメント
自由度⚠️ カードの項目は固定で、ほかに任意の資料を置けるドキュメントタブがあり、新規作成、名前の変更、ドラッグができる✅ 形式は完全に作者が決められ、スクリプトで一括処理できる
ファイルの置き場所✅ Maliang Writerのオンラインアカウントに保存され、別の端末でログインすればそのまま続けられる✅ ローカルのフォルダー。FeelFishはクラウドドライブへの同期を選べる

✅ 公式資料または製品内で対応を確認できる   ⚠️ 一部対応、または公式資料に記載なし   ❌ 公式に非対応と明記されている · 競合の情報は先方の公開資料によります。

Maliang Writerのやり方

Maliang Writerはこれらの課題にどう取り組むか

№01 Maliang Writer

カードとドキュメントの両方がある

人物・設定・伏線・ストーリーラインはカード、全体プロットは別枠、文体サンプルと書き始めの資料はドキュメントで、左パネルの「ドキュメント」タブはファイルツリーになっており、新規作成、名前の変更、ドラッグができます。固定された構造が必要なものはカードに、自由に書きたいものはドキュメントに置けます。

№02 Maliang Writer

状態の変化を手で記録しなくていい

章を書き終えると、ストーリーアーカイブを整理します。誰が怪我をしたか、誰と誰の関係が変わったか、人はどこにいるか、どの伏線が進んだか回収されたか。キャラクターカードの「アーカイブ」タブで、その人物のこれまでの変化を見られます。

№03 Maliang Writer

合わないところは先にあなたに聞く

既存の設定と合わないものは「確認待ち」に並び、本文に合わせて設定を直す、本文を直す、または無視する、から選べます。あなたの設定を黙って書き換えることはありません。

  1. 古くなった設定は巻ごとにしまわれる:新しい巻に入ると、前の数巻にしか出ない人物・場所・伏線はアーカイブに収まり、AIが新しい章を書くときは参照しませんが、必要なときは調べられます。人物が戻ってきたら、よく使う側に戻します。
自分で補う部分

フォルダー+Markdownでの管理で直接長編を書くとき、作者が自分でやること

  1. 最新版がどこにあるかは自分で覚える:同じ人物が複数のファイルに散らばっていることがあり、1か所直したらいくつ同期するかは、作者が覚えておくしかありません。FeelFishの公式ドキュメントにも、AIの大規模モデルは本質的に記憶機能を持たないため、プロジェクト内で関連する内容を管理する必要があると書かれています。
  2. 台帳の形式は自分で設計する:公開されている長編のテンプレートは、状態や追跡のファイルを専用に設計しており、「作者だけが知る真相」と「読者がすでに知っていること」を分けて記録するものもあります。形式を決めたあとも、AIに各章で更新させる規則を書く必要があります。
  3. 規則ファイルがどんどん長くなる:規則も設定もファイルでAIに渡すので、書けば書くほど無視されたり互いに衝突したりしやすくなります。Codex CLIのAGENTS.mdは合計のデフォルト上限が32 KiBです。
相手の強み

フォルダー+Markdownでの管理が得意なこと

フォルダーとMarkdownの利点は実質的です。ファイルは自分のパソコンにあり、どのソフトでも開けます。形式は完全に自分で決められ、スクリプトで一括処理でき、Gitでバージョンを管理できます。FeelFishはこの方式で多くの工夫をしています。プロジェクトにキャラクターと設定のフォルダーが組み込まれ、スマートコンテキストは既存の内容から規則・プロット・伏線リストを抽出でき、Diffは編集可能で、クラウド同期で衝突したときは2つのバックアップを残します。NovelcrafterのCodexは、本文中で言及された項目を自動で追跡してリンクし、Progressionsは設定がどの時点から有効になるかを制御できます。SudowriteのStory Bibleは、項目をAIから隠すように設定できます。

どの製品にも向いている場面があります。ここでは中国語の長編連載という一つの場面に限って提案しています。

実際の画面

Maliang Writerの実際の画面

Maliang Writerのフローティングキャラクター設定カード
作者がフローティングキャラクターカードを開いて、人物の設定を確認します。
Maliang Writerの章アーカイブ:人物の状態、関係、居場所、伏線
作者が章アーカイブで、人物の状態の変化を確認します。
Maliang Writerのナレッジグラフ。主人公の沈硯の関係網だけを表示している
会員はナレッジグラフで主人公の関係網だけを見ることができ、人物・場所・伏線・出来事は色で区別されます(サンプル作品、全46章)。
❦ · Evidence · ❦
データと出典

出典と確認日

4つの実際の執筆タスクで試してから選ぶ

実際の執筆の段階に合わせて、2〜3種類のツールを同じお題で試してください。タスク全体を記録し、ある製品の1回の出力をカテゴリ全体の能力の結論にしないでください。

以下は同じお題で試すためのチェックリストで、すでに実施した比較実験ではありません。オリジナルの教材『借火城』を使うことも、自分が扱う権利のある原稿を使うこともできます。準備の過程、出力、作者による修正をそれぞれ記録してください。

新しい本を始める

同じ主人公、核となるルール、読者の好みを与えます。まず新しい作品の方向性を比べ、そのあと総プロット、第1巻の巻プロット、最初の3章の章プロットを整理します。

確認:3段階のプロットそれぞれの役割を区別できるか。作者が案を確認してから先に進めるか。未確定の設定が、いつの間にか事実として書かれていないか。

同じ新作開始用の資料パックを使う

既存の20章の続きを書く

自分が扱う権利のある同じ旧原稿を使い、最後の章の結びと次の章の目標を指定します。まず1つの場面を試し書きし、前の20章は変更しません。

確認:どんな資料を準備したか。人物の居場所、持ち物、未回収の伏線は繋がっているか。候補稿と採用稿はどう区別されるか。

取り込みと続き執筆のタスクリストを見る

すでに登場した設定を変更する

前の本文に実際に影響するルールを1つ選び、まず影響を受ける章とその根拠を挙げてもらい、そのあとで作者が修正の範囲を選びます。

確認:確認していない部分を示しているか。先に変更内容を確認できるか。タスク外の本文を誤って直したり、採用していない案を資料に書き込んだりしていないか。

設定の変更方法を見る

作品と資料を持ち出す

本文、巻と章の順序、キャラクター設定、世界のルールを実際に残せるか試し、出力がそのまま編集を続けるのに向いているかを確かめます。持ち出せないものも書き出します。

確認:形式と順序は判別できるか。プラットフォームのアカウント内の資料、ローカルのファイル、エクスポートファイルにはそれぞれ何があるか。宣伝ページだけで使えると判断しないでください。

タスクと結果の記録カードをコピーする

実際に使ったモデル、プラン、アカウントの条件と、資料の準備や本文の修正にかかった時間を記録してください。試していない項目や確認できない項目は空欄のままにし、機能名や1回の生成結果を全体の体験の代わりにしないでください。

選び方

状況に合わせて選ぶ

よくある質問

よくある質問

小説の設定は、どのソフトで管理するのがいいですか?

どちらの方式に慣れているかによります。形式を自分で決めたい、ファイルをローカルに置きたいなら、フォルダーとMarkdown、またはFeelFishのようなクライアントを。構造を固定したい、状態を誰かに記録してほしいなら、Maliang Writerのような、キャラクターカードとストーリーアーカイブのソフトを使います。英語で書くなら、NovelcrafterのCodexも見てみてください。

Markdownで小説の設定を書くと、どんな利点がありますか?

形式が自由で、プレーンテキストなので汎用的で、Gitでバージョンを管理でき、コーディングエージェントや多くの執筆クライアントがそのまま読めます。欠点は、ファイルが増えると、同期や最新版の検索を自分でやるしかないことです。

小説の人物設定カードには、何を書けばいいですか?

よくあるのは、名前、身分、外見、性格、表向きの目標と心の奥の渇望、能力と制約、重要な関係、口癖や話し方です。Maliang Writerのキャラクター設定ガイドには、より詳しい書き方と人気作の例があります。

展開の中で人物が変わったら、設定カードも直すべきですか?

固定の設定(出自、性格の根本)はカードに書き、展開に伴って変わる状態(怪我、境地、居場所、関係の変化)は別に記録することをお勧めします。Maliang Writerは章を書き終えたあとに、こうした変化をストーリーアーカイブに整理し、キャラクターカードの「アーカイブ」タブで見られます。

設定が多すぎると、AIが書くときに誤用しませんか?

そのリスクはあるので、各章でAIに渡す資料を絞る必要があります。Maliang Writerの執筆エージェントは、その章に必要な設定だけを受け取ります。新しい巻に入ると、前の数巻にしか出ない人物・場所・伏線はアーカイブに収まり、新しい章を書くときは参照しません。

カードとドキュメントを併用できますか?

できます。Maliang Writerでは、人物・設定・伏線・ストーリーラインはカード、全体プロットは別枠、文体サンプルと書き始めの資料はドキュメントで、左パネルの「ドキュメント」タブで自由に新規作成、名前の変更、ドラッグができます。

FeelFishとMaliang Writerは、設定の管理で何が違いますか?

FeelFishはデスクトップのクライアントで、ローカルのプロジェクトフォルダーでキャラクターと設定を管理し、スマートコンテキストが、AIが読み取るための規則・プロット・伏線リストなどのドキュメントを生成します。Maliang WriterはWebプラットフォームで、人物と設定はカードで、章を書き終えるとストーリーアーカイブを整理し、古くなった設定は巻ごとにしまいます。

❦ · Continued · ❦
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