マルチエージェント執筆とは?AI小説の役割分担
マルチエージェント執筆とは、小説の執筆を役割ごとのAIに分けること。メインアシスタント、執筆エージェント、記録係、校閲の分担と、作者が最終判断をする理由を、1章を書く流れで解説します。
この記事の目次 6セクション
マルチエージェント執筆とは
マルチエージェント執筆とは、小説を書くという仕事を、それぞれ1つのことを受け持つ複数のAIの役割に分けて進めることです。作者と相談してタスクを組む役、本文だけを書く役、前の展開を記録する役、問題の指摘だけをする役がいます。役割どうしは資料を受け渡し、最後に使うかどうか、どう直すかは作者が決めます。
「1つの対話欄で最初から最後まで話し続ける」やり方と比べた分業の利点は、各役割が自分に必要な資料だけを受け取り、自分の1つの仕事にだけ責任を持つことです。
1つの対話欄で長編を書くことの難しさ
汎用のチャットモデルに「ファンタジー小説の1章を書いて」と頼むと、結果は悪くないことが多いです。しかし数十章を超えると、問題が次第にはっきりしてきます。
- 前の展開を覚えきれない:人物の怪我、借りを作った人情、仕込んだ伏線は、話が長くなるほどコンテキストから押し出されやすくなります。
- 要求が薄まる:冒頭で決めた文体や禁止事項が、後半になるほど守られなくなります。
- 書くのも審査するのも同じ:同じモデルが書き終えたばかりの段落について、自分の欠点を挙げさせても、挙げられないことがよくあります。
これらは、より強いモデルに替えるだけで完全に解決できるものではなく、多くは作業の進め方の問題です。
Maliang Writerでの役割分担
Maliang Writerの新世代の執筆エンジンには、よく使われる役割が次のようにあります。
- メインアシスタント:あなたと対話する役です。あなたの要望を理解し、前の本文・プロット・アーカイブを読み、章プロットを組み、次に何をするか、誰に任せるかを決めます。
- 執筆エージェント:本文だけを書く役です。受け取るのは、その章に必要な前の本文、章プロット、関連する人物、文体の参考で、長い会話履歴は持たず、その章を書くことに専念します。本文を書くモデルは、メインアシスタントとは別に選べます。
- 記録係:章を書き終えたあと、本文に基づいて、その章のあらすじ、登場人物、人物の状態と関係の変化、伏線、作中の時間を整理します。本文に書かれていないことは補わず、既存の設定と合わないものは印を付けてあなたに確認を求めます。
- 調査と校閲:必要なとき、メインアシスタントが別のタスクとして資料を調べさせたり、独立した校閲を行わせたりします。校閲は、具体的な原文の一文、位置、修正案を挙げるだけで、あなたの代わりに原稿を直すことはしません。
分業はタスクに応じて変わります。展開を話し合うだけなら、メインアシスタントだけが働くこともあります。章の続きを書くときに、執筆エージェントと記録係が加わります。毎回、決まった何人かのエージェントが順番に一巡するわけではありません。
1章を書くとき、どう連携するか
「第23章の続きを書く」を例にします。
- メインアシスタントが、直近の数章の本文、その巻の巻プロット、関連する人物の現在のアーカイブを読み、その章で何が起こるかをあなたと確認します。
- 章プロットが決まったら、執筆エージェントに渡して本文を書かせます。
- 本文がエディターに書き込まれ、どこが変わったかを段落ごとに見て、残すか元に戻せます。
- 章を書き終えると、記録係が人物の状態、関係、伏線の記録を更新し、疑問のある点は確認待ちに並べます。
- セカンドオピニオンがほしいときは、メインアシスタントに独立した校閲を1回行わせられます。
この過程のすべてで、物語がどこへ向かうか、どの段落を残してどの段落を書き直すかは、あなたが決めます。続きの執筆の詳細はAIで小説の続きを書く、アーカイブの記録のしかたはストーリーアーカイブを見てください。
なぜ分業が長編に役立つのか
- 執筆エージェントの資料がすっきりする:その章に必要な前の本文と設定だけを持ち、文体の参考がより集中するので、数十回のやり取りの断片的な要求に引きずられません。
- 前の展開を専任の役が記録する:記録係は本文だけに基づいて記録し、続きを書く前にまずアーカイブを読むので、前に起きたことをモデルの「記憶」に頼る必要がありません。
- 書くことと審査することが分かれる:独立した校閲は「書き終えたばかり」の慣性に影響されないため、問題を見つけやすくなります。
- 作者がいつでも介入できる:各段階の成果物が見えて、直せます。AIが本文を直したときは、そのラウンドを取り消せます。
分業で矛盾がゼロになるとは限らず、作者の判断の代わりにもなりませんが、長編の執筆で最もミスの出やすい工程のいくつかに、それぞれ担当を置けます。
よくある質問
Q:マルチエージェント執筆と、ふつうのAI執筆では何が違いますか?
ふつうのAI執筆は、通常、1つのモデルが1つの対話ですべてを引き受けます。マルチエージェント執筆は、相談、本文の執筆、前の展開の記録、校閲を別々の役割に分け、それぞれが必要な資料だけを受け取り、1つのことだけを行います。
Q:マルチエージェントが勝手に私の原稿を直すことはありませんか?
AIがあなたの開いている章を直すと、エディターに変更の前後の比較が表示され、段落ごとに残すか元に戻せます。ラウンド全体が気に入らなければ、このラウンドを取り消せます。校閲タスクは提案だけで、原稿を直接直しません。
Q:マルチエージェント執筆は、クレジットを多く消費しますか?
増えるのは主に、アーカイブの整理と、必要に応じた校閲・調査のタスクです。本文の執筆が引き続き最も大きな消費で、各ラウンドの実際の消費量は製品内で確認できます。
Q:一部だけ使うこともできますか?
できます。展開の相談だけ、プロットの作成だけ、AIに1章を校閲させるだけでも構いません。アーカイブの整理も、設定でオフにできます。